夏庵`s nest

nest [nest]
1(鳥, 虫, 魚, 小動物の)巣, 巣穴.
2居心地のいい場所, 休み場所, 隠れ場所, 避難所.

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夢十夜 /夏目漱石
漱石の夢十夜が映画化されるのだそうだ。
十篇の物語をそれぞれ別の監督の演出でオムニバス形式の映画にするという。
一話目(死んだ妻を百年待つ話)は実相時昭雄監督で、松尾スズキと小泉今日子が出演だって。
松尾スズキは監督としても第六夜(運慶が仁王を彫る話)を演出するらしい。なんでもミュージカル仕立てにするとか。
他の監督、キャストなどはよくわからないのだけど、これだけでもちょっと面白そうだ。



今年の初めに漱石の全小説を再読しようという計画を立てて、まあ、最近はあまり進んでなかったのだけど、ずっと読み続けてはいたのだ。
このブログにも最初は感想を書いていたのだけど、どうも短い文章で印象だけ語るというのが漱石に関してはそれが出来難くて、そのままにしていた。
つまり、どうせならもう少し長い文章で論じてみたいと思いはじめ、そうなるとますます短い文章で印象だけ語るのは不適切な気がしてしまうのだった。
でもこのブログでは、短い印象だけでも書いておくのは、まずそうすべきことなのだな、思い改めまして。
長い感想なりはまた別の機会に書けば(どうしても書きたいというなら)いい話なのだから。
ということで、今年いままで読んだ分の漱石の小説の感想をちょっとづつ書いていこうと思います。夢十夜の映画化という話題が、上手いきっかけという事で、まずはこの幻想的な短編集から。

夢十夜 他二篇
夢十夜 他二篇
夏目 漱石
「夢十夜」というのは実は僕にとってずいぶん思い入れのある作品なのだった。
大学の卒業論文のテーマがこれだったんだよね。
まあ、その、若い頃ですから、そのまんまユング的な夢判断を適当にこじつけて、漱石の精神の深遠部はそのまま日本という共同体の精神の不安につながってるのだとか何とか、つまらないことを書いていたと思う。
そういう恥ずかしい過去を除けて改めてこの作品を読めば、なるほどああいう作品だから、作者の内面の謎というものに誰でも興味をもつだろうし、そうした詮索がすなわちこの作品の評価になりうるなんていう勘違いもしてしまうのだけど、まずそうした視点をとっぱらって読んでみれば、そのイメージの豊かであること、その描写の簡潔にして無駄がなく、すさまじく美しいことに改めて驚かされるわけなのでした。

今回僕は漱石作品の再読を続けていて、やっぱり「虞美人草」で一回躓いてしまったのだ(笑。
まっ、半分ぐらい読んだとこでいっぺん放り投げてしまったのですね。なんか、くどくってさ、つまんねーやなんて思って。
でもその後に、夢十夜と永日小品を読んで、ああやっぱりこれも読んでおかなきゃと思い直し、再び「虞美人草」も手にとり無事完読出来たのだった。
なぜかというと。

やはり漱石の文章の何よりも優れている点というのはイメージ力の強さだと思うのだ。
そのイメージ力の強さこそが現代においても漱石作品がこれだけ読まれている唯一の理由だとさえ僕は思う。
それは多分「虞美人草」でも「夢十夜」でも文章のスタイルはだいぶ異なっているものの同じ作家の文章の特性ということで同質のものだと思う。
そう思えたから、少し間をおいても再び「虞美人草」に取り掛かれたというわけでした。

そして「夢十夜」に関して今僕が思うのは、現実の話ではない純粋創作(そう、これは漱石が実際に見た夢ではないと思うのだ)ゆえに創られた美しくも恐ろしい視覚的イメージを描いた、その漱石の洗練された文章の描写力が最も発揮された作品なのだなということ、そしてただその文章を、あるいはその文章からイメージされる映像を純粋に楽しむために何度でも読返すための作品なのだということ。

だから。
夢十夜の映像化というのは魅力的だが非常に難しい作業のようにも思う。
松尾スズキがいきなり完全に原作のイメージをぶっ壊すことにしちゃった気持ちわかりますね。
実相時昭雄には、第一夜よりも第八夜(床屋に行く話)をやってほしい気がするな。一番普通な話なんだけど、一番わけわからない話。
あってると思うんだけど。




過去記事:

「吾輩は猫である」  
「坊ちゃん」     
「草枕」       
| 夏目漱石 | 17:13 | comments(2) | trackbacks(2)
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コメント
夏庵さま、初めまして!
夢十夜映画化のニュースで、そういえば原作を読んでいなかった、と調べていて、こちらで作品についての文を読ませてもらいもっと興味がわきました。
これから原作も読んでみたいと思います。
ありがとうございました。(TBもお願いしました)
| 天衣 | 2005/12/03 1:39 PM |
>天衣さん
こちらこそ、TB&コメントありがとうございます。
夢十夜の映画、楽しみですね。
多分原作からはだいぶ離れた、そこからインスピレーションされたぜんぜん別の創作になるのではないでしょうか。
また、そうなってほしいですね。

これからもよろしくお願いします。
| 夏庵 | 2005/12/04 10:51 AM |
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『夢十夜』の映画化のこと。
『第一夜』の主人公ふたりが小泉今日子と松尾スズキ、監督は実相寺昭雄。このニュース
| kiku's | 2005/11/18 2:02 PM |
夢十夜って?
まぐなむで山本耕史さんが夏目漱石原作「夢十夜」のオムニバス映画「ユメ十夜」に出演、クランクインと書いてあるのを見てから、「それ、読んだことない…」と文学作品にうとい自分を
| かたりべの部屋 | 2005/12/03 1:33 PM |
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