夏庵`s nest

nest [nest]
1(鳥, 虫, 魚, 小動物の)巣, 巣穴.
2居心地のいい場所, 休み場所, 隠れ場所, 避難所.

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東京観音 / 荒木 経惟, 杉浦 日向子
東京観音
東京観音
荒木 経惟, 杉浦 日向子


荒木経惟, 杉浦日向子の東京の観音様をめぐる旅。

 荒木氏の撮る女性写真は嫌いだ。
 なんだか女性の視たくない、美しくないところばかり強調する写真のような気がする。有体に言えば、それは僕にとってはエロくない。その気になれない写真。
 反面、風景の写真はすごく好き。
 風景の写真もやはり何か暴きだすような写真だ。そんなとこなにもわざわざ写さなくてもいいのに、というところを、そこがイイのよ、と無理矢理ねじ込んで撮ってしまうような写真。

 いずれにしろ、荒木氏の写真は被写体と無理矢理に関係を持ち、その関係性の中でしか見えない深部をあっけらかんと外にさらしてしまう、そんなあけすけのユーモアの明るさと本来の出歯亀根性というか品性下劣な性根の暗さとが白黒のコントラストで画面に定着してしまったような、それはまさに荒木氏の作家性というものなのだろうけど。

 東京のあちこちに点在する観音像は不思議な生命力を放って、それを視るものを魅了する。そしてその観音様のある町の風景も、あまりになんでもない東京の風景であり、それを目にして感じるのは、懐かしさというよりも寧ろ既視感に近い眩暈だ。
 それは既に失われてしまったのではなく、どこかにありながら決してたどり着けない、昨日の夢の中に出てきた町の風景。
 
 写真の何枚かに写りこんでいる杉浦氏の姿も何か不思議な時間の錯綜を感じさせる。
 生前の写真にはもちろん違いないのだけど、周りの風景に溶け込むようで、いや全然そうでなく、まるっきり浮き上がっている女性の何枚かのポートレートはまるでそれが彼女の死後に撮られたのではないかという倒錯的な感情を呼び起こす。

 この写真集のなかにはそんな惑乱した生死の価値が、遣る瀬無いたおやかな生命と、不思議に甘やかな死の臭いが、漲っている。
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