夏庵`s nest

nest [nest]
1(鳥, 虫, 魚, 小動物の)巣, 巣穴.
2居心地のいい場所, 休み場所, 隠れ場所, 避難所.

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語られるべき物語・島田虎之介
僕らは基本的に語られるべき物語、語るにたる物語など持ち合わせてない。
つーか、あらゆる人生はそれが物語られたのなら、その時点でそれはもうただ物語なのであり、実際の人生とは関係ないモンね、とさえいっていい。
だってさ、僕らは人生を生きるのか、物語を生きているのか。
当たり前だ、僕らは物語を生きている。



ラスト.ワルツ―Secret story tour
ラスト.ワルツ―Secret story tour
島田 虎之介
だからこの物語で語られる数々のもっともらしい史実がうそかホントか、作者の周りの人間が実際の人物であるかないか、そんなことは基本的にはどうでもいいことではある。だってこれはただの物語なのだし。
そして物語の主人公たちが語る、本来語られるべき物語はその始まりはいかにもホントらしい体裁で現れながら、途中からは明らかにそうあるべきであったという前提の虚の物語に移行するのだけれども、語られるべき(本来はそうでない)物語の中に生きる人物たちはまるでそれぞれの運命に(運命?嘘なのに!)引き寄せられるように「噴火する富士山」という予言された嘘の未来の舞台に集まり、「ナーンだ、嘘なわけ?」という、語られるべき人生という矛盾の瞬間に立会い、それぞれのただの人生へと立ち返っていくわけだが、それはただ死んでいくこと、あるいは生きていくこと。ただそれだけ。
ただそれが人生だけであることに、生にあるいは死に、僕らは到底馴染めはしない。
だから、当たり前の話だが、僕らは物語の中にしか生きれない。
ただの人生に本来語られるべき物語などありはしないはずなのだが、しかしにもかかわらず、僕らはそれを語り、語ることによってそれがまるで本来であるようにその物語の中を僕らは生きているわけだから、それは矛盾というより寧ろ二重構造というべきか、だって本来的に語られるべき運命にあるから物語なのであり、しかしそれゆえにと言ってもいいけど、本質的に、語られるべき物語などはどこにもありはしないのだ。
裏返してもいい。
語られるべき物語など誰も持ってない。でも僕らが物語にしか生きられない以上それは語られる運命にあるのだ。

島田虎之介の漫画は、特にこの「ラストワルツ」という処女作は、つまりそういう決意の漫画なのだと思う。
漫画という、物語には恐ろしく非効率かつ寡黙なメディアでなされた成果はまさに瞠目に値するものだと思う。
| 漫画 | 17:16 | comments(0) | trackbacks(0)
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