夏庵`s nest

nest [nest]
1(鳥, 虫, 魚, 小動物の)巣, 巣穴.
2居心地のいい場所, 休み場所, 隠れ場所, 避難所.

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ロスト・イン・トランスレーション

先々週、満席で観れなかった映画、やっと観てきました。
結論。かなり気に入りました。
☆☆☆☆
(続きはネタばれアリ)
主人公2人の抱える内面の問題は一般的にいって余り同情されない類の問題であろう。
一人は、今は落ちぶれたかつてのハリウッドスター。
本国での映画出演のオファーはないが極東の国ではまだCMで使ってくれるらしい。200万ドルのギャラで。
一人は、まだ若い人妻。夫はまだこれから伸びていく盛りのフォトグラファー。わざわざこんな遠い国まで呼び出されるのだからそれなりに実力もあるのだろう。彼女は学校を出たばかりですぐに結婚生活。夫の忙しすぎる日常に少々ご不満の様子。
映画は彼らの異国で体験するカルチャーギャップとそれに伴うある種の喪失感、そして立場は違うが似たような悩みを抱える2人が出会い、お互いに惹かれあっていく様子が現代の東京の風景の中で淡々と描かれていく。
彼らは基本的に裕福で恵まれた人物である。それぞれのパートナーからあまり相手にされないという不満はあるようだが、それもなんだか、聞き分けのない子供のわがままのようなものである。(彼らがそれぞれのパートナーから充分に愛され、ケアされていることは映画の中でもたびたび描かれている。)誰でもその程度の寂しさはあるよ、まして、なんだかわけのわからない異国の地にそれぞれ一人ぼっちだものねぇ。
ありきたりの2人がありきたりの悩みを抱えて出会う。
おそらくは異国の地での束の間の冒険を楽しむようなごく軽い気持ちで。
そして、その冒険はやがて本当の逃避行になるのではないかという期待感が映画の中でたびたび語られるのだが、結局2人はホテルのおたがいの部屋におとなしく戻っていってしまうのである。逃避行どころか彼らにはラブアフェアーさえないのである。ベッドを共にする瞬間もあるのだがただお互いの境遇をおしゃべりするだけなのである。
しかし、彼らの抱えている「喪失感」とはいったいなんなのだろう。ソフィアコッポラは「喪失感」なんて言葉は使わなかったな。でも彼らの抱えている寂しさを淡々と、ユーモアを交え、丁寧に描いていく。その問題は、もっともありきたりで平凡な、でもとても重要な問題であると思われる。「現代の都市生活者」にとって。
でもそれはやっぱり言葉にするとあまりに陳腐なのだ。
人生の目的意識の喪失?見失われたアイデンティティー?自分の居場所が見つけられない?
精神分析医であればもっと適切な病名を探してくれるだろう。
しかし彼らが求めているのはそんなことではない。
言葉による理解や説明ではない。まして自分の欲望の充足に逃避するために相手を求めるのでもない。
ただ、お互いの魂が通じ合った、理解しあえたと感じられればそれでよかったのである。結局彼らは何もなかったように分かれていく。
が、ラストシーン帰りのタクシーの中から、男は新宿の雑踏の中に女を見つける。そして束の間の抱擁。でも、結局、お互いはお互いの人生の中に戻っていく。
誰でも人は自分自身を確認し、自分の今いる場所を確認しなければ前には進めない。自分を見失い、行くべき道に迷ってしまったとき、その人に必要なのは独りよがりの愛情を押し付ける相手なんかではない。ただ自分を見つけてくれる発見者こそ必要なんだろう。今いる場所からまた迷い道に入り込まないようにしっかりと抱きとめてくれる人物、それはもしかしたら常に赤の他人にしか担えない役割なのかもしれない。
監督、脚本のソフィア・コッポラは主人公たちののとるに足らない問題を東京というワンダーランドの風俗を通して、まさに言葉にならない物語として饒舌に映像で語ってくれたと思う。
まあ、ちょっとほめすぎなような気もするが、いい映画でした。
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ロスト・イン・トランスレーションとこまねこ
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